外資系、何だかカッコイイ響きだけれど消費者金融にも外資系なんてあったかな?
疑問に思うアナタ、ありました! 過去には大手外資系の消費者金融が沢山あったんです!
では、沢山あった外資系の消費者金融は、今現在、どうなっているのでしょうか?
キャッシングに興味がない方でも、雑学として知っておくと役立つ外資系消費者金融の行方をご説明します!
聞いたことある?過去に存在した外資系の消費者金融を紹介
外資系の消費者金融の全盛期は1975年~2006年頃まででした。その頃にあった大手のブランドを紹介します。
アイク
アイクの名前は聞いた事がある人が多いのではないでしょうか。アイク(AIC)は2006年まであったブランドです。
元々はフォード・モーターの孫会社のAICアソシエーツ・カナダ・ホールディングス (AIC) の日本法人として1979年に設立されて、日本で営業していました。
AICの親会社がアソシエイツ・ファースト・キャピタル(AFCC)で、そのまた親会社がフォード・モーターです。
AFCCが2000年にフォードからシティグループに売却されたため、アイクもシティグループ傘下のブランドになりました。
最終的には2006年に同じシティグループのディックに統合されてなくなってしまいました。
ディック
ディックもかなり、名前が通ったブランドでした。
ディックは2008年まで営業していましたが、現在は新規顧客を受け付けていないので事実上はなくなってしまっています。
ディックファイナンスが設立した会社で、1975年にダイエーグループの傘下として設立され大阪を拠点に精力的に営業していました。
しかし、1998年にフォード・モーターの子会社のAFCCに売却され、外資系になりました。
そして、最終的にはアイクと同様にAFCCがシティグループに売却された時に、シティグループの傘下のブランドになりました。
ユニマットレディス
そう言えば聞いた事がある! と言う方が多いのではないでしょうか。ユニマットレディスは「女性のためのパーソナルブランド」として、顧客を女性専用に絞ったブランドでした。
インターネットや電話で24時間受け付け可能で、全て女性スタッフが対応してくれる女性にはとても親しみやすいブランドだったのです。
設立は1972年で、当時は「ユニマットライフ」の中の1ブランドでしたが、2001年にシティグループに売却され、外資系になりました。
シティグループ傘下になった後も知名度の高い「ユニマットレディース」は、そのままブランドとして残りました。
最終的には、2009年に同じシティグループのディックに統合されてなくなってしまいました。
アエル
1969年に「山一物産」として創業しましたが、その後「日立信販」、「アエル(AEL)」等と社名を転々した問題のあるブランドです。
山一証券や日立グループとの関係が一切ないにも関わらず、いかにも関係がありそうな社名だったため、日立クレジットから正式に訴えられました。
そのため、社名を「アエル」に変えましたが、これも他の企業とバッティングして問題を起こしています。
2003年に経営が破たんし会社更生法が適用され、米国の投資ファンド・ローンスターグループが再建のスポンサーになり、外資系になりました。
最終的にはまた経営破たんしてなくなり、一部の債権が債券回収代替業者の間を転々としているため、過払い金の請求が難しい問題企業です。
レイク
え? あのレイクが外資なの!? と驚く方もいるのではないでしょうか。実はレイクは設立当初は外資系だったのです。
レイクは、GEコンシューマファイナンスというアメリカの企業が設立したブランドなのです。
レイクは外資系でなくなった後も、TVやネットで大々的に宣伝されている安心できる大手ブランドのひとつです。
外資系消費者金融が日本市場に参入にして来た理由
日本の消費者金融業界に外資系企業が参入してきたのは、1975年頃からです。
1977年にはアブコ、1978年にはアイクが参入して来ています。
では、なぜ外資系企業が参入してきたのでしょう?
1970年代の金融ビッグバン、ドルの力をバックに日本に進出!
1970年代に世界規模の金融ビッグバンがありました。その先がけが1970年代なかばのアメリカの金融市場です。
世界基軸通貨のドルを背景とした、この金融市場整備で力を付けたアメリカ金融業界が飽和した国内市場の代わりに目を付けたのが日本市場です。
外資が未進出の日本市場は、うま味があるはずだった!
当時の日本は、個人が急にお金が必要になっても、手軽に現金を借り入れるのは敷居が高い国でした。
なぜなら、消費者金融がまだサラ金(サラリーマン金融)や街金と呼ばれ、暴利を貪っていた時代だったのです。
サブプライムローンのノウハウがあるアメリカ企業にとっては、十分に食い込む余地があり、十分に顧客獲得が見込める市場でした。
低金利で貸し付けて消費者を獲得!
進出してきた外資系企業の最大のセールスポイントは低い金利でした。
そこで、外資系企業は年利49%と言う低金利と、24時間対応を打ち出しました。何と、日本の消費者金融の半額です!
どうしてなくなった!?日本市場から撤退した理由
49%の金利は、借りる側に取ってのメリットは大きい! 需要は沢山ある! はずでした。
しかし、現在は外資系の消費者金融は日本にはありません。
唯一、残っているのはディックですが、新規貸し付けを受け付けていないので事実上ないと言って良いでしょう。
外資系の消費者金融は日本の消費者から敬遠された!
勢い込んで日本市場に乗り込んで来た外資系の消費者金融全般ですが、日本の消費者には敬遠されがちでした。
日本語が入っていなくて、当時の日本人には馴染みにくいブランド名。店の場所の雰囲気が店に入りにくい。
カウンターテーブルの高さが日本人には高すぎる。など、日本人の心理に合わなかったのです。完全なマーケティング不足と言えるでしょう。
アイクは対面面接に時間を掛けて顧客から敬遠された!
アイクは大手外資系としては最後に日本市場に参入してきました。アイクは最後発の不利を乗り越えようと、他のブランドとの差別化を図ります。
「信用力の高い顧客のためのブランド」を前面に打ち出しましたが、国内事業者の反対により全情連の情報を使っての顧客調査が出来ません。
そこでキャッシングを申し込みに来た顧客との対面面接による顧客の信用調査に力を入れました。
しかし、借り入れ状況、返済余力などの対面でのヒアリングは日本人の心理に合わず、敷居の高いブランドとして敬遠される結果になってしまったのです。
ディックは対面面接なしで顧客の質が悪かった!
ディックはインターネットや携帯電話からのサービスに力を入れたブランドです。
新規顧客に対してもインターネットや携帯電話からの申し込みに力を入れ、「24時間対応」「ご来店の必要なし」をキャッチフレーズに顧客を獲得して行きました。
しかし、この敷居の低さは他のブランドでキャッシングを断られた信用度が低い顧客が、新規顧客として流入する事になりました。
その結果、発生したのが多数の不良債権と貸し倒れです。個人は多額の借金があっても自己破産してしまえば、借金を払わなくても良いのですから。
貸金業法改正で金利が下がりセールスポイントがなくなった!
さて、この様に不利を抱えていた外資系消費者金融にさらなる不利が降りかかります。貸金業法と出資法の改正です。
これによって日本企業の金利の上限が、1987年には54.75%、1990年台には40.04%、2000年には29.2%、2010年には20%に引き下げられました。
これでは、低金利と言う外資系のセールスポイントがなくってしまいます。
さらに追い打ちをかけたのが、2006年から多発した利息制限法に基づく「過払い請求」です。これが外資系の息の根を止めました。
この様に、外資系に取って日本市場は魅力ある物ではなくなり、非常に厳しい市場になってしまい、各社は撤退を余儀なくされたのです。
一部の外資系消費者金融は日本の会社に統合
外資系の消費者金融は日本から撤退しましたが、レイクのブランドは残っています。
どうしてレイクだけが生き残れたのでしょう?
当時の業界見通し!レイクは売れてもディックは売れない!
レイクは売れるがディック(アイク)は売れないだろうと言うのが、外資系が撤退を決めた2008年当時の貸金業界での見通しでした。
レイクとディック(アイク)。同じ外資系でありながら、その明暗を分けたのは顧客層の違いでした。
アイクはディックに足を引っ張られた!
アイクのその敷居の高さは先ほど説明しましたが、そこを乗り越えた顧客は、信用度の高い顧客だったのです。
アイクだけなら日本企業に統合と言う形でブランドを残す事が出来たかも知れません。
しかし、アイクはユニマットやディックと統合し吸収されてしまっていました。
本体のディックが多数の不良債権を抱えたブランドで信用度の低い顧客が多かったため、どの日本企業も買収を拒みました。
レイクは優良顧客多数で日本企業に統合されて生き残り!
一方、レイクは派手ではありませんでしたが、地道に優良顧客を開拓していました。
不良債権も少ないため、「過払い請求」もディックほどは多くありませんでした。低金利の有利がなくても自力で存続できたかも知れません。
しかし、それでも収益性が悪化しているために、レイクの母体であるGEキャピタルは日本撤退を決め、レイクを新生銀行に売却しました。
現在、レイクは「新生銀行カードローン レイク」として、安心できる優良消費者金融として多くの顧客にサービスを行っています。
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今後どうなる?外資系の消費者金融は復活する?
日本から撤退してしまった外資系消費者金融ですが、将来また進出してくるのでしょうか?
現在日本の景気は回復傾向にあり、企業が参入しやすい状況です。しかし、新規参入は難しいと言えるでしょう。
日本の消費者金融は飽和状態
現時点での日本の消費者金融業界は、以下の優良大手5ブランドがしのぎを削っています。
- アコム
- アイフル
- レイク
- モビット
- プロミス
その他にも優良中堅クラスの消費者金融が沢山あり、飽和状態なのです。
優良ブランドが優良顧客をがっちり固めている
上記の大手5ブランドはアイフルを除くと全て銀行系列の消費者金融です。
当然のことながら信用調査もしっかりしていて、貸し倒れの危険性が高い、いわゆるブラックと呼ばれる顧客は抱えていません。
ですから、既存の優良顧客は大手5ブランドがしっかり抱えているのです。その上、5ブランドは新規顧客の開拓にも力を入れています。
「初めての方には30日間金利なし!」など、TVコマーシャルや無人契約機、インターネット契約などの戦略を見ると、その力の入れ方は一目瞭然です。
外資系が再度進出しようとするには大きなプレミアが必要
上記のような状況で外資系が新規ブランドを立ち上げるには、大手5社よりも魅力的なプレミアが必要です。
では、どのようなプレミアが考えられるでしょうか? 大手5社よりも低い金利? 60日間の無利息期間?
これならは魅力的ですが、大々的な宣伝キャンペーンが必要でしょうし、何よりも収益率がよろくありません。
外資系が再進出は遠い将来
そうすると考えられるのは、大手ブランドを買収しての再参入です。
しかし、現在の大手ブランドは銀行系が固めているために、銀行本体が傾かなけれは買収は難しいでしょう。
外資系の消費者金融は、いつか戻って来るかも知れません。しかし、それは近い将来ではないと言うのが一般的です。
【参考ページはこちら】
現代の消費者金融の利点を教えて!