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消費者金融のナイスは貸金業を廃業していた!

消費者金融は今業界の存続自体が危ない未曽有の危機にあります。なぜこうなってしまったのかというと直接の引き金を引いたのが、近年行われた貸金業法の改正です。

貸金業法とは社会問題化したサラ金の業務を縛るために徐々に縛りがきつくなり、サラ金改め現在の消費者金融の時代になってもその手は緩められず、今回の改正で業界は瀕死の状態です。

この中で以前は優良消費者金融などと言われていた業者も次々に消えて行くことになりました。

ここで説明するナイスという消費者金融は審査が緩く利用者には好評の消費者金融で、グループ会社との合併や外資系の出資などを経て存続していました。

しかし今回の改正で、合併後の会社も行き詰ってしまい現在では貸金業を廃業してしまっています。

ナイスの痕跡を追う!なぜ経営不振に至ってしまったのか

消費者金融業界は栄枯盛衰が比較的激しい業界で、一度消えてしまうと、すぐに忘れ去られてしまい、現在ナイスと言われても以前のナイスを思い浮かべる人はよく利用していた人ぐらいになってしまいました。

しかし現在はインターネット時代ですので、検索をかけてみると、ナイスが営業していた時代に口コミ情報などに書き込まれている情報を見つけることができます。

当時の情報を読んでみると、ナイスは審査が緩く大手消費者金融では貸してはくれないような状態の人でも、融資をしてくれていたらしく、比較的好意的な書き込みを読むことができます。

このナイスは後に合併することになるアエルという消費者金融などとグループを形成しており、アエルの方も審査は緩かったようで好評な書き込みが目立ちます。
(⇒審査が緩かったら通るのは確実?

しかしこのアエルは屋号をわざとかどうかは知りませんが山一物産とか日立信販などと名乗り、あたかもその名称を持つ大手企業である山一物産株式会社や日立信販株式会社の系列であるかのように見せていました。

もちろん全く関係はありませんでしたので、当然裁判になり敗訴して、その後会社名としてアエルを名乗りますがこれも仙台にある会社に提訴されています。どうも経営者には問題があったようですね。

会社更生法の適用申請から合併へ

好評ではあったのですが、バブル崩壊の影響から1999年にメインバンクが破綻したことによって以後資金繰りに苦労することになってしまい、2003年になってこのナイスとアエルは会社更生法の適用を申請しました。事実上の倒産と言う事です。

しかしここで思わぬ救世主が現れます。良かったかどうかは別にしてアメリカの投資ファンドが名乗り出ました。この投資ファンドは東京スター銀行の親会社のローンスターグループで、両社はこの傘下で再建を図ることになります。

この中でどういう経緯があったかは分かりませんが業務を整理するためと思われる両社の合併が2004年に行われることになります。そして2005年にブランド名はアエルとなりナイスの名前はここで消えることになりました。

経営拡大から不祥事発生そしてとどめの貸金業法改正

以後店舗数500を目指すなど経営拡大が図られ、順調に業績を伸ばすこともできていたのですが、2006年に法令違反の不祥事が発覚して関東財務局から業務停止命令が出されてしまい、今から考えると、これが転落への第一歩だったように思えます。

この後2007年には更生手続きが終了し、さあこれからというところではあったのですが、この直前に貸金業法が改正され、業績は急速に悪化していくことになります。この時点ではこのアエルだけではなく、消費者金融業界全体が既に怪しい雰囲気に包まれていたと言って良いでしょう。

ナイスは大手ではありませんでしたが、審査が緩めで知る人ぞ知る存在の消費者金融でした。しかし残念ながら現在では貸金業を廃業しています。

ナイスの経営がおかしくなりだしたのは、バブルが崩壊した後、ナイスのメインバンクが破綻したためナイスも資金繰りに行き詰ってしまったことが原因となり、結局この時は会社更生法のの適用申請まで行き、グループ企業のアエルと合併します。

その後外資系企業の傘下で再生をはかり、一時は順調に業績を伸ばしていましたが、法令違反で業務停止になり、さらに貸金業法の改正で、他の多くの消費者金融と同じく業績が悪化していくことになりました。

ナイスの廃業!とどめを刺した貸金業法の改正とは何だったのか

この後の消費者金融業界を見てみると、大手と言われている消費者金融を含めて中小零細まで例外なく経営が傾いていきます。

大手消費者金融はこの頃すでに銀行と提携しており銀行のカードローンの信用保証業務などを担っていたため、これらに倒れられると銀行が困ってしまうことになり、グループ企業にして経営を支えなければならない程深刻だったのです。

この時支援の得られなかった武富士などは消えてしまいましたし、現在銀行の傘下に入っていないアイフルも以後深刻な経営危機に陥っており、いまだに完全に立ち直ったとは言えない状態です。

結局この時に当時の消費者金融の半数は消えてしまったと言われています。ナイスのように今では忘れられてしまった消費者金融がたくさん有ったわけです。

貸金業法の改正点

ではここまで消費者金融業界を脅かした、貸金業法の改正とは何だったのでしょうか。消費者金融業界に深刻な影響を与えたのは、次の2点です。

  • 総量規制
  • グレーゾーン金利の撤廃

総量規制とグレーゾーン金利の撤廃の2点です。この2点の改正だけで、消費者金融は非常に商売がやりにくくなってしまったわけです。この改正を境にカードローンなどは銀行中心の金融商品に移行していくことになります。

では総量規制というのはどのような規制なのかというと、要するに所得制限で、融資できる金額は原則として年収の3分の1までと上限が決められてしまったのです。

それまでは資産状況によっては無職で無収入でもローン契約ができて融資していたのですが、この規制ができたため無収入では例外規定である合計100万円以上、一社当たり50万円以上の融資はできなくなってしまったのです。

この規定は消費者金融の融資によって買い物依存症や、パチンコ依存症になってしまう人が当時続発していたことが大きく影響したと言われています。

この規制で効果があったのかどうかは知りませんが、この規制によってそれまで融資をしていたのに、融資ができなくなってしまったりや融資金額を抑える必要があったりで商売はやり難くなりました。

次にグレーゾーン金利の撤廃についてですが、それまでは出資法と利息制限法の間に不一致があり、この間の金利をグレーゾーン金利などと呼んでいました。

消費者金融側は利益が大きくなるため上限金利の高い出資法に基づいて金利を設定していたのですが、この改正によって金利が低い方の利息制限法に基づくように規定されたために、利益が減ることになりました。

それだけであればまだよかったのかもしれませんが、実はグレーゾーンの金利で利息を払っていた分は取りすぎと言う事になって、その分が過払金と言われ利用者側から請求されれば返還に応じなければならなくなってしまったのです。

現在テレビで弁護士事務所などが過払金請求についてのCMを流していますが、この法改正が元になっています。

アエル廃業

こうした中でアエルは急激に経営体力を落としていき、2008年に再度民事再生法の適用を申請し店舗は閉鎖されることになり、貸金業を廃業することになってしまいました。

つまりこの時点でナイスからアエルに続く消費者金融の歴史は閉ざされたと言う事になります。これ以降ナイスの記憶は急速に薄れていったのではないでしょうか。

問題はこの時アエルの持っていた債権と言う事になりますが、債権は第三者に譲渡されたました。その後債権回収業者の間を転々としているという話もあって、もし当時の債務がまだ残っている人は早めに返済してしまった方が安心です。

悪質な債権回収業者になるといきなり全額の返済を迫ってくることも有るので注意してください。ある日突然かつてのナイスの顧客に対して返済を迫る連絡が入るかもしれません。差し押さえなどに発展しないように注意しなければなりません。

消費者金融狙い撃ち

ここで少しナイスの説明からは外れるのですが、銀行について目を向けてみましょう。

銀行もカードローンを行っている以上やはり消費者金融と同じように大きな影響が出ているはずだと考える人も多いかもしれませんが、大手消費者金融を支えなければならないというような影響以外は実はこの貸金業法の改正は銀行には影響しませんでした。

理由は資本が大きく経営が安定していたからという話ではなく、貸金業法自体が銀行には適用にならないからです。

貸金業法が適用されるのは消費者金融などの貸金業に限定されており、銀行は銀行法によって管理されることになります。ですから銀行にとっては消費者金融が半数消えたことによってカードローンの利用者が増え利益になったと思われます。

例えば総量規制について考えてみると、消費者金融ではこの規定のために50万円以上の融資を希望する場合には必ず収入を証明する書類を提出しなければなりません。

しかし銀行の場合のは各行の判断によって100万円以上としている所や中には300万円以上としているところも存在しています。融資も年収による縛りは存在しません。

貸金業法の影響による面白い事例にレイクが有ります。レイクと言えば多くの人はまだ大手消費者金融の一つだと考えていると思いますが、実はレイクも御多分に漏れずこの貸金業法の改正で経営が悪化し新生銀行の傘下に入りました。

ところが新生銀行はネームバリューの有るレイクを積極的に使うことを考えて自分のところのカードローンにレイクという名前を付けたのです。
(⇒レイクのカードローンについてもっと

以前レイクを名乗っていた消費者金融も新生ファイナンシャルという名前で現存しているのですが、レイクというのは今や新生銀行のカードローンなのです。

したがってレイクには貸金業法の縛りは掛かりません。これが発表になった時には他の大手消費者金融からはあまりにレイクだけが有利になるため多くの不平不満が噴出しました。

このようにして消費者金融は非常に経営が難しくなってしまいました。半数は消え新しい業者も参入してきてはいますが、銀行がカードローンに参入してきている以上、国内での市場は今後もかなり厳しいと思われます。

消費者金融側もそういう点はよくわかっていて、現在もう少し商売のしやすい海外に進出するところも多くなってきています。

アエルとなったナイスを追い込んだ貸金業法の改正では、融資上限を年収の3分の1までとした総量規制と、法律間で食い違いが有った上限金利を低い方を適用することにしたグレーゾーン金利の撤廃が行われました。

この改正によってアエルだけではなく当時の多くの消費者金融が貸金業の廃業に追い込まれることになり、またこの時アエルの抱えていた債権は、他の業者に譲渡されて、その後も業者間を転々としています。

この貸金業法と言うのは同じようにお金を融資している銀行には適用されないため、銀行は総量規制などの影響は受けることが無く、カードローンにおいても消費者金融よりも銀行のほうが商売がやりやすく有利になりました。

アエルは現在も存在している!業務は過払金返還請求への対応のみ

ただしアエル自体は現在も事業自体は存続しています。貸金業は廃業しましたが、業務は継続しているのです。

現在は支店などはありませんが東京新橋に事務所があり、業務は主に返還業務だけになっており過払い金請求への対応と言う事になっています。

この過払い金請求業務が終了すればこの事務所も閉められることになるのではないでしょうか。これが現在のナイスからアエルに続く会社の状況です。

過払金残っていませんか

そこで以前ナイス或はアエルを利用していた人は確認してみてほしいのですが、もしかして利息を払いすぎていないでしょうか。払いすぎている場合には、過払金返還請求を行えば払い過ぎた分の利息を返してもらう事ができます。

どうだったかよくわからない人は一度調べてみる価値はあるのではないでしょうか。

ただしこの過払金請求にも時効が有り10年となっています。いつから10年なのという疑問がわきますが、これにはいろいろと争われて判例が出ていて、最終の返済日から10年と言う事になっています。

ですからナイスの時代に借入して返済していたとしても、まだ過払金請求ができる可能性は残っていますし、アエルも同じです。

過払金の請求方法

過払金の請求は弁護士や司法書士と言った法律関係の専門家に頼むことができますが、自分でも行うことができます。そこで手順を説明しておきましょう。

まず過払金があるのではないかと思った場合は本当に過払金があるのかどうかを調べてみなければなりません。そこで当時の取引を確認する必要があるのですが、利用明細は残っているでしょうか。

もし利用明細が残っていなければ、消費者金融側に取引履歴を請求することができます。すでにどこに消えてしまったかわからない業者では素人には難しいですが、ナイスの場合はそれを引き継いだアエルが幸い残っているので、そちらに請求すればよいでしょう。

ただしこういった請求は過払金請求を前提にしているので対応は遅い可能性が高いです。

取引履歴を手に入れたら、それに基づいて利息制限法の最高金利で計算したときの利息を算出し、実際に支払った利息から差し引いて、過払金額を計算します。

素人には利息計算は難しいかもしれませんが、今はインターネットがあります。インターネット上にはこの過払金を計算するためのソフトウェアが無料で提供されていますので利用してください。

計算が終わり過払金額が分かったら過払金請求書を作成します。この請求書のフォーマットもインターネット上を探せばすぐに見つかるのでそれを利用すれば簡単に作成することができます。

間違いがないかを再度確認して、この請求書を業者宛に送付します。送った送らないという話にならないように内容証明郵便で送ってください。これで請求は終りです。

ただし、これは利用者側の請求が終わったと言う事であって、これで過払金が返ってくるわけではありません。難しいのはそこから先の業者との折衝になります。

業者側はなるべくお金を出したくはないので、何かと理由をつけ、時には屁理屈に思うような事を言ってでも請求額の減額を図ろうとしますので、忍耐強い交渉が必要です。

あとはどこまでやるかという話になって、業者側と話がつけばその金額が返還されます。しかし、もし話がつかなければ司法に訴えるしかなくなります。

訴訟を起こすのはかなり面倒なので、そうなってしまうと素人には荷が重くなってきます。以後は弁護士に頼んだ方が良いでしょう。あとは途中で和解するか、あくまで判決まで争うか弁護士と相談して決めてください。

過払金の金額が大きいのであれば、面倒なので弁護士に依頼してしまった方が良いと思います。いろいろと過払金請求をしているはずですから、自分で行うよりも早く返還額も大きくできるでしょう。

再度言いますが時効は10年です。ナイスの時代の過払金とすればもうすぐ時効です。すぐに請求しなければ取り戻すことができなくなってしまいます。

借金の返済で返済金とはいえ過払金は自分のお金です、過払金が残っているのであれば遠慮なく過払い請求しておきましょう。

貸金業は廃業していますが、アエルという会社自体は現在も存続しています。業務としてはナイスやアエルの融資で生じた過払金の返還請求への対応と言うことになっています。

返還請求は、まず取引履歴から利息制限法の定める最高金利を適用した時の利息を計算して実際に支払った利息から差し引いて過払になっている利息を計算します。

その後、その金額を返還請求することになりますが、業者側も減額しようとしますから、そこで話し合いあるいは司法判断によって実際の返還額を決めることになります。

過払金返還請求は利用者自身でも行えますが、弁護士や司法書士に依頼することもでき、そのほうがスムーズに進む場合も有ります。

ナイスには別の業者もある?悪徳業者も有るので要注意!

ここではアエルに繋がるナイスについてお話してきたのですが、実はナイスと名乗った業者はこの業者だけではありません。

ナイス或はナイスxxxと名乗っている正規業者は現在でも2業者、過去にもかなりの数あったようです。ですから一口にナイスと言っても様々な業者があると言う事になり、利用者によっては自分が利用した貸金業者は別の業者だったと言う事もあり得ます。

インターネット上に残る記録によれば同じナイスであっても利用にあたってまずは保証金名目で振込みをさせて、それ以後融資をなかなかしないというような悪徳業者も存在していたようです。

今考えればこの悪徳ナイスは正規業者だったかどうかも疑わしいものがあります。手口が現在の闇金にそっくりですので、闇金か闇金に近い業者だったと思われます。

まずはナイスという業者を調べてみよう

そこで問題になるのは過払金返還請求など業者に接触する必要がある場合です。同じナイスと言っても借入先が別の業者では返金など絶対にしてくれません。

確認は難しいですが、まずは年代を確認してみましょう。ここで説明したナイスの名称は2005年に無くなっています。したがってこれ以後のナイスは別の業者と言う事になります。

もし例えば2006年にあったナイスを実際に利用して過払金を請求したいという人がいるのであれば、これを現在のアエルの対して行ったとしても、取引履歴の請求に対して履歴なしと言う回答が来るでしょう。

ですからもう一度自分が契約して利用したナイスが本当にここで説明したナイスなのかどうか少なくとも年代についてだけでも確認してみてください。

正規業者かどうかを確認しよう

ナイスという言葉は意味的にも肯定的なものがあるため、金融業では利用しやすいのかもしれません。したがって正規業者以外にもナイス或はナイスxxxを名乗る業者はたくさんあることが予想されます。

したがって、人によってはかつてのナイスを連想して利用しようかと思うかもしれませんが、全く違う業者ですので、利用には注意が必要です。

正規業者であれば現在縛りがきつくなってきていますから、問題になるようなことは少ないと思いますが、闇金の場合は近づいてはいけません。

そこで利用する前には必ず正規業者であることを確認することが必要です。

確認には金融庁のデータベースを利用するのが最も簡単です。このデータベースはインターネット上から誰でも利用することができます。

名称で検索したら表示された情報から次の情報を確認してみてください。

  • 業者名
  • 代表者名
  • 貸金業登録番号
  • 所在地
  • 電話番号

すべての情報が見つけた消費者金融のものと一致していたら、その業者は正規業者と考えて良いでしょう。闇金の中には正規業者の情報をホームページまでそっくり真似て電話番号だけを入れ替えておくなどの手口がありますから、十分注意して確認する必要があります。

【参考ページはこちら】
中堅消費者金融で借りたい方におすすめ

ナイスは既に廃業した消費者金融で、バブル崩壊で取引銀行が破綻したことで資金繰りに行き詰り会社更生法の適用を申請したあとアエルと合併して業績を伸ばしましたが、不祥事を起こし、さらに貸金業法の改正で貸金業の廃業を余儀なくされました。

この貸金業法の改正では、貸金業者は年収の3分の1までしか貸せないという総量規制や、高い金利が付けられなくなるグレーゾーン金利が廃止され、これが原因で過去に遡って取り過ぎた利息を過払金として返還しなければならなくなり、消費者金融の経営を圧迫しました。

過払金の請求は取引履歴などから払い過ぎている利息を計算して、過払金請求書を業者宛て送ることで可能ですが、その後業者との折衝や必要が有れば司法に訴えることもあるので、弁護士などに依頼する方が良い場合も有ります。

ナイスと言う言葉は良いイメージを与える為、ナイスを名乗る金融業者は、他にも存在しますし、かつても存在していました。もし過払金請求などを行う場合には自分が利用したナイスとは別の所に行っても返還は有りませんから注意しなければなりません。

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