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給料の差し押さえもある?返済が遅れた時の強制執行に至る流れとは

キャッシングローンへの返済が遅れたらローン業者から厳しい督促や取立を受けて、直ぐに給料が差し押さえられると思っていませんか?

確かに貸金業法が改正される以前では乱暴な行為もニュースで取り上げられ、ローンの利用に不安を感じているかもしれませんね。

しかし、貸金業登録を受けたローン業者は違法で乱暴な督促や取立は行われず、強制執行も裁判所の管理下で適正に行われるのです。

今回はそのような返済が遅れた時の督促から強制執行までの流れとその実態を紹介します。

業者の実際の督促・取立の内容、法的措置がとられた場合の裁判所を通じた督促から強制執行までの流れ、などを説明していきましょう。

違法で乱暴な回収を行うのは貸金業登録を受けていない悪徳業者

キャッシングローンの返済に遅れた場合、ローン事業者から乱暴な対応をされるのではと不安に思われる方も少なくないでしょう。

確かに一部のローン事業者の中には法律を無視した貸付金の回収を行うことがあり、時折ニュースで取り上げられることもありますね。

そうした違法な回収行為をする悪徳業者はたいてい貸金業登録受けていない業者であることが多いといわれています。
(⇒危険で怪しい消費者金融の見分け方

貸金業を行う場合にはその登録を受けることが法律で定められているので、登録がないこと自体が既に違法というわけです。

つまり、貸金業をやってはいけない者が貸付を行って、返済が遅れた時には違法で乱暴な回収行為しているということなのです。

例えば、返済が遅れると何回もしつこく電話、FAXやメールで督促する、督促する際には乱暴な言葉で脅す、など悪質な督促が行われます。

早朝や深夜に利用者の自宅に訪問し大声で返済を要求する、或いは職場まで押しかけて取立ようとする、などの違法な取立もあるのです。

また、利用者が返済できない場合に法的手続を取らずに利用者の給料や資産を勝手に差し押さえるといった行為に及ぶこともあります。

上記の内容を含め下表のような行為は違法なので、そうした行為を受けた場合は警察や金融庁に報告して対応してもらう必要がありますね。

表1:悪徳業者の違法な回収行為

悪徳業者の違法な回収行為
大声を出したり脅迫するような言葉を使ったりして暴力的な態度で回収を迫る
正当な理由なしに早朝や深夜に訪問したり、電話やFAXで連絡したりする。そうした行為を反復継続する
大勢で債務者(借手)の自宅を訪問する
玄関の扉や門などに貼紙をして借金の事実を第三者に示す。
他のローン業者から借金して返済することや、クレジットカードを利用し返済することを強要する
債務者の勤務先へ訪問して強引に回収を迫る
本人や保証人以外の支払義務のない第三者に借金の返済を強要する

登録貸金業者は法律に基づいた債権の督促、取立や強制執行を行う

ここではキャッシングローンの利用者が返済を遅らせた時に貸金業者がどのような対応しているかを紹介していきます。

督促や取立がどのように行われているのか、どのような強制執行が実施されているのか、といった貸金業者の対応を確認していきましょう。

登録貸金業者の貸付金(債権)の督促と取立の仕方

悪徳業者以外の正規の登録貸金業者が返済を遅らせている債務者(借手)に対してどのように貸付金を回収するのかを確認してみましょう。

利用者が返済期日に支払わなかった場合、大手の事業者は通常翌日から3日以内には電話やメールで確認しようとします。

最近では直接債務者に電話せずにまずはメールで本人から電話をかけてもらえるように依頼するケースもありますね。

電話をかける場合、返済期日から5日くらいまでは通常債務者の携帯電話へ連絡することが多いでしょう。

しかし、それ以上経過してくると自宅や職場へ電話をかけるケースもでてきますね。

ただし、事業者が債務者の自宅や職場へ電話をかけるときは法律に基づき事業者名を出さず個人名でかけています。

電話の内容は主に、いつまでに返済できるのかという確認、遅延利息を含めた返済額の連絡、返済できない場合の相談、などになるでしょう。

つまり、「すぐ支払え!」といった単純な督促の電話ではなく、遅延の確認から相談までを目的とした確認の電話といえそうです。

利用者と連絡がつかない場合などは返済期日から1週間程度は1日3回くらいまで携帯電話や自宅の電話に連絡が入るといわれています。

ただし、中小事業者の場合は、電話の回数が多くかなり厳しい口調の督促が行われることもあるようですね。

また、電話やメールでの確認を継続している場合でも事業者は返済と連絡を求めるための督促書を利用者へ送付します。

さらに1カ月も利用者からの入金や連絡がない場合には、事業者によっては利用者の自宅へ訪問することもあるでしょう。

しかし、法律を遵守する登録貸金業者なら大人数で訪問して大声で取り立てるような違法な行為を行うことはまりません。

また、その時期には事業者は最後通告といえるような催告書をその利用者へ送付し、法的措置による解決の意志を伝えることが多いですね。

そして、それでも入金や回答がない場合は貸付金の回収に向けた法的手続きに入るわけです。

ただし、悪徳業者と違って登録貸金業者は法的手続きによらない強制執行としての資産や給料の差し押さえをすることはありませんね。

  • 未納の場合返済期日から1週間は1日3回ほど電話連絡の可能性あり
  • 法律に則した電話やメール以外に督促状の送付や自宅訪問もある
  • 登録貸金業者は大人数の訪問や乱暴な取立を行わない
  • 登録貸金業者は法的手続によらない強制執行は行わない

書面による督促もある!貸金業者からの督促状と催告書とは

既に確認しましたが、貸金業者は返済が遅れている利用者に対して電話やメールでの連絡のほかに書面で督促するという方法も取ります。

つまり、督促状や催告書のことです。督促書は返済時期が過ぎて比較的近い頃に送付されるものでその内容は次のような感じになっています。

表2:督促書の内容

督促書の内容
いまだにご返済いただいておりません。つきましては、本状の到着後、速やかにご返済またはご連絡くださいますようお願いいたします

この督促書を送付してもなお入金や連絡がない場合、事業者はさらに催告書を送付するのです。

内容としては下表のような最後通告的な内容が示されていますが、通常は1回の送付で終わらず3回ほど送られているようですね。

表3:催告書の内容

催告書の内容
本状の到着後、○○日以内にご返済及びご連絡くださいますようお願いいたします。
もしご返済頂けない場合は法律上の手続きにはいらせていただきます

つまり、この催告書は債務者から返済の意志が示されない場合、法律に基づいて解決を図る旨を債務者に伝えているわけです。

事業者によってはこの時期に利用者の自宅へ訪問することもあるようです。ただし、法律で定められている行為は遵守されるでしょう。

そして、それでも入金がない、利用者と連絡が取れない場合、事業者はいよいよ裁判所を通じた貸付金の回収手続に入ることになります。

また、事業者の貸付債権が保証会社との契約により保証会社に移り、そこから請求や督促がくることもありますね。

強制執行までの流れ

キャッシングローンの利用者がその借入金の返済を滞納させた場合、ローン事業者は最終的に法的措置を取ることになります。

ここではその法的措置としての裁判所を通じた督促から強制執行までの流れを説明していきましょう。

事業者が裁判所への申し立てると法的措置が開始される!

ローン事業者が債務者に返済を促しても入金や返済への相談に応じこない場合は通常法的措置に入ります。

事業者は貸付金の回収ができない事実について「支払督促申立書」を作成し裁判所に申し立てると法的な「支払督促」が始まります。

裁判所は事業者の申立内容を審査して不備がなければ、支払督促を発布して債務者のもとへ特別送達による郵便で送付します。

支払督促とは、申立人の申立内容を審査して問題がなければ裁判所が債務者へ金銭の支払を督促するための手続といえるでしょう。

簡単にいうとローン事業者が裁判所から督促状を出してもらう仕組みで、内容は「借金を払ってください」というものになるかもしれませんね。

この支払督促に対して不服がある場合、債務者はそれを受取ってから2週間以内に異議を申し立てることができます。

債務者が支払督促に応じないで裁判所に異議を申し立てると(督促異議申立書の提出)、通常の訴訟で決着を図ることになるでしょう。

もし債務者が支払督促に対して異議を申し立てない場合は支払督促に仮執行宣言をつける手続きに入ることになるのです。

放置できない!仮執行宣言付支払督促は強制執行前の最後通告

支払督促を受けた債務者が異議を申し立てない場合、裁判所は債権者の申し立てに基づき仮執行宣言付支払督促を発布することになります。

これは最終的な決着手段である強制執行に移る前の手続であり、債権者と債務者の両方に送付されます。

つまり、
「この支払督促を無視したり支払わなかったりすると強制執行しますよ」という宣言を表す督促状が債務者に送られる
わけですね。

債務者は仮執行宣言付支払督促の送達後2週間以内なら異議を申し立てることができ、その場合は執行の停止も求める必要があります。

したがって、督促異議を申し立てる場合は民事訴訟で決着を図ることになり、申し立てない場合は強制執行を受けることになるでしょう。

以上の裁判所の支払督促は通常書面にて行われるものであり、裁判所から債務者へ直接訪問したり電話したりすることはありません。

そのため事業者から悪徳業者のように乱暴な言葉を浴びせられたり嫌がらせをされたりするようことはないです。

ただし、債務者としては裁判所からの督促なので大きなプレッシャーがかかるかもしれませんね。

給料はどのようにして差し押さえられる?強制執行の流れと内容

債務者が裁判所からの支払督促に異議を申し立てない場合、裁判所はローン事業者に債権を回収させるための手続に入ることになります。

いわゆる民事執行手続といわれるもので、裁判所が債務者の財産を差し押さえて金銭に換え事業者に債権を回収させるものですね。

民事執行手続は強制執行手続や担保権の実行手続などがあり、キャッシングローンの場合は通常強制執行手続になるでしょう。

強制執行手続は訴訟での確定判決や仮執行の宣言が付された給付判決などにより実行されることになります。

つまり、先に確認した仮執行宣言付支払督促を無視して放置していると裁判所が事業者の申し立てに基づき強制執行を進めるわけです。

債務者の強制執行として差し押さえられる財産の対象は、主に債務者の預金、給料やその他資産になります。

裁判所は強制執行を行う際に差押命令を出し債務者と第三債務者(債務者の勤務先や預金している銀行など)に送達します。

以上のような過程を経て強制執行が行われ、債務者は自分の給料が差し押さえられることになっていくわけですね。

  • ローン事業者の申し立てに基づき裁判所が支払督促を債務者へ送付
  • 債務者が支払督促に異議を申し立てることも可能
  • 債務者が支払督促を無視すると仮執行宣言付支払督促が発布される
  • 債務者は仮執行宣言付支払督促に異議を申し立てることも可能
  • 仮執行宣言付支払督促を無視すると強制執行手続へ
  • 裁判所は強制執行として差押命令を出す

そんなに怖くない!強制執行による差し押さえの実態

強制執行と聞かされると身包みまで剥がされるような怖いイメージをもつかもしれませんが、実際はそれほど怖がるようなことはないのです。

ここでは実際に行われている強制執行の内容を確認していきましょう。

法律に基づく給料の差し押さえまでの流れとは

既に強制執行による債務者に対する財産の差し押さえを簡単に紹介しましたが、実行されるにはさまざまな手続が必要とされています。

ローン事業者が強制執行を実現するためには、まず裁判所へ強制執行の申し立てを行わねばなりません。

その際事業者は、強制執行の対象となる預金や給料などの財産とその所在(勤め先や銀行の支店名)を裁判所に申告する必要があるのです。

裁判所はその申告に基づき申告された強制執行の対象となるその所在へ差押命令を送るというわけですね。

その所在は第三債務者と呼ばれその命令を受取った場合、差し押さえの対象の存在を確認して裁判所に報告しなければなりません。

もしローン事業者が給料を差し押さえようとする場合、勤務先は裁判所からその有無が問われるので債務者の借金を把握するでしょう。

そして、差し押さえの対象がある場合、第三債務者は裁判所の命令に従いローン事業者に対象分を支払うことになるわけです。

知れば安心!強制執行による給料の差し押さえの範囲と制限

強制執行でできる差し押さえの対象となるものは、不動産、動産と債権になりますが、ローン債務者の場合は主に債権が対象となるでしょう。

債権には債務者の勤務先での給料、銀行などでの預金や債務者が営む駐車場の賃料などが該当しますね。

ローン事業者は債務者の不動産、動産や給料以外の債権を把握することが難しいので、差し押さえの対象は主に給料になるというわけです。

給料が差し押さえられると生活ができずに飢え死にするのではと不安になりますが、実は法律で制限が加えられているのです。

差し押さえの対象となる給料については税金や社会保険料を控除した残額の4分の1が対象になると民法で定められています。

給料が全額取られないでその4分の3は手元に残るので、債務者は生活や勤務を継続できるというわけです。

例えば、社会保険料が差し引かれた給料が40万円なら、10万円までが差し押さえの対象となり、30万円は残ることになります。

ただし、給料の多い方などに対応するためか差し押さえの禁止額の上限が33万円と決められているのです。

例えば、社会保険料等を引いた残額が月44万円を超える場合の差し押さ金額は、その残額から33万円を差し引いた額になります。

支払いについては、第三債務者がその4分の1の差し押さえ分を直接債権者であるローン事業者へ支払うことが多いですね。

また、毎月の給料以外にボーナスや退職金も強制執行の対象になり、差し押さえられることもあるでしょう。

実際は執行されない?自宅の財産に対する差し押さえの制限と実態

テレビドラマなどでは借金の肩代わりに、自宅の整理ダンス、洗濯機やテレビなどの生活必需品が差し押さえられることがありますね。

しかし、民法では生活に必要な製品や2カ月分の食糧などは差し押さえが禁止されているのです。

また、実際にローン事業者が債務者の動産や不動産を差し押さえるケースはほとんどないといわれています。

事業者がそれらを差し押さえるためには面倒な手続を行う必要がありますが、実行したとしても現金に換金出来るモノが少ないようです。

債務者としては、借金の返済のために取立が来る前には高価な財産は処分してしまっているので金目のモノは少ないということですね。

そんなわけで事業者は手間とコストをかけ差し押さえを行っても経費倒れで実質的に損する可能性が高いため、やらないというわけです。

早めに法的整理を行えば強制執行も回避可能!

強制執行を受けて給料が差し押さえられるようなことになれば、勤務先での評価に何らかの影響がでてくるかもしれません。

そのため債務者によっては強制執行が始まる前に勤務先を退職してしまう方もおられますね。

その場合、それまでの勤務先の給料や退職金をもらってしまうとその企業での強制執行は免れるかもしれません。

しかし、新しい勤務先をローン事業者に連絡している場合は、その勤務先に対して差し押さえが実行されることになるでしょう。

ただし、債務者が事業者に新しい勤務先を連絡せずにいれば、そこでの差し押さえは難しくなるかもしれませんね。

そもそも強制執行事態を回避するほうが望ましいわけですが、そのためには事業者へ返済していかねばなりません。

しかし、返済できない場合は自己破産や民事再生などの法的整理を行えば、強制執行を免れる可能性が出てくるのです。

その理由は、法的整理の手続が開始された後では強制執行が行えないことになっているからです。

債務者にとっては法的整理で借金問題を解決していくほうが、勤務や生活に影響することが少なくなるのでオススメかもしれませんね。

  • 給料の差し押さえの命令が裁判所から勤務先へ出される
  • 給料の差し押さえは税金や社会保険料を控除した4分の1が対象
  • 生活必需品は差し押さえられない
  • 法的整理で強制執行を回避できることもある

【参考ページはこちら】
キャッシングの借入には時効があるってホント?

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