いきなりですが質問です。「大手消費者金融会社の成約率は何%くらいだと思いますか?」
成約率とは全申込者のうち、無事に契約までたどり着いた人の割合のこと。審査に通過した人の割合と考えることができる数字です。
(⇒審査に通りやすい人、審査に落ちやすい人)
とある大手消費者金融の発表によると、成約率は毎年40%台で推移しています。50%を超えた年はありません。
つまり、半数以上の申込者は審査で否決されたか契約手続きの段階で却下されたなどの憂き目に遭っているのです。
では、半数以上の「借り入れできない人」はどのような原因で審査落ちをするのか、この機会に考えてみませんか?
審査は極秘!否決の理由は教えてくれない
否決となった原因をはじめとする審査内容は、たとえ申込者本人の問い合わせであっても教えてもらうことはできません。
それが消費者金融に限った話でないのはご存知でしょう。銀行のローンでもクレジットカードを作るのでも審査内容は極秘なのです。
審査結果は貸し手の状況によって変わる
否決になると、「次の申込みで参考にもなるし、理由くらい教えてくれたっていいじゃないか」と言いたくなるものです。
しかし、否決の理由は教えられない訳があるのです。その1つが、審査基準は一定ではなく営業状況によって変化している点です。
消費者金融も1つの企業。営業を続けるためには常に利益を追求しなければいけません。融資の姿勢も営業状況によって変化します。
状況 | 内容と傾向 |
---|---|
貸付残高過多 | ・貸し過ぎの状態(不良債権も増える) ・融資に対して消極的になる |
貸付残高減少 | ・利息収入が減っている状態(収益が減る) ・融資に対して積極的になる |
基本的な事柄で否決される人はともかくとして、可決か否決かで審査担当者が悩むケースも存在します。
その場合、上の表のような傾向が影響します。同じ状況でも可決されるときと否決されるときがあるわけですね。
日々基準が変化する審査内容は公表できないのです。「あの人はOKで、私がダメなのはおかしい!」という不公平感が出てしまいますからね…。
否決の理由は自己分析するしか方法はない
どんなローンでも否決の理由は教えてもらえない。何が悪かったのかは自己分析するしか方法はないのです。
何も考えずに違うところへ申し込みをするのはお薦めできません。何が問題なのかを考えて、次の申込みに活かすべきです。
それでは、消費者金融の審査に落ちる主な原因をご紹介しましょう。否決の原因が解らず困っている方の参考になれば幸いです。
申込みのし過ぎや延滞はブラックになる可能性大
ローン用語に「ブラック」というものがあるのはご存知でしょうか?一言で表現すると、「よろしくない取引の情報」です。(こちらもご参考に→愛知県でも使えるブラック消費者金融はある?)
この情報は「個人信用情報」と呼ばれ、その会社が加盟している登録機関に随時取引内容が登録されます。
自分では気づき難い「よろしくない取引」の種類
「ブラックって破産とか債務整理とかのことでしょ?私には関係ないわ」と安易に考えてはいけません。
破産や債務整理、借入れの件数や金額が多すぎるなどの事柄は、自分でも意識しているブラックな情報ですよね?
しかし、自分では気づき難い「よろしくない取引」情報が登録されていることもあるのです…。
では、「自分では気づき難い取引」の種類を一覧で見ていただきましょう。思い当たることがないかも考えながらご覧下さい。
- クレジットカードの決済(口座引落し)不能
- 携帯電話の分割払いで支払延滞
- 各種ローンの支払延滞
- 各種ローンへの申込件数
「どれも当てはまらないなぁ…」という方は次の項目へ進んで下さい。「あっ!」と思われた方はこれが原因かもしれませんよ。
【原因1】クレジットカードの決済不能
クレジットカードでショッピングや公共料金の支払いをしている場合、毎月の決済状況が登録されます。
支払状況 | 登録データ |
---|---|
正常の決済 | ・KSCは○印 ・CICは$マーク |
一部入金 | ・KSCは△印 ・CICはPマーク |
期日に入金なし | ・KSCは×印 ・CICはAマーク |
他にも状況によって登録される記号がありますが、そこまで詳しく知る必要はないでしょう。
登録は24ヶ月分。25ヶ月目になると情報から消えます。ところてん式に古い情報が押し出されるイメージでいいでしょう。
肝心なのは、この情報が「KSC」と「CIC」という登録機関に加盟している企業のローン審査に利用されるという点です。
つまり、毎月のクレジットカード決済が遅れると「×またはA」が記載され、直近2年分の支払遅れも見抜かれてしまうんですね。
「ずいぶん支払期日を守らない人だな…」と評価されれば、ローン審査がどうなるかは言うまでもないでしょう。
補足ですが、登録機関にはもう1つ「JICC」という所があります。消費者金融の多くはここかCICの片方、または両方に加盟しています。
【原因2】携帯電話の分割払いで支払延滞
通信会社(ドコモ・au・ソフトバンクなど)で端末や付属品を購入した場合は、【原因1】と同じ登録が行なわれます。
携帯ショップで買い物をすると、複数の書類にサインをしますよね?その中に「割賦販売に関する同意」が含まれています。
これがクレジットカードでのショッピングと同じ「割賦売買契約」となるため、携帯代の未払いも【原因1】と同じように扱われるのです。
ローンとは関係のないところの未払いや支払遅れが影響を及ぼしている可能性もあるということは覚えておきましょう。
【原因3】各種ローンの支払延滞
クレジットカードの決済不能と携帯・スマホ代の未払いだけでなく、ローンそのものを延滞したときも「異動情報」として登録されます。
「異動情報」は破産や債務整理と同じ重大な事故として扱われます。返済が行なわれるまで情報は消えません。
また、返済後1年間は「過去に延滞していましたよ~」という状態で登録されます。返済をして1年経ってから消える情報なのです。
【原因4】各種ローンへの申込件数
ここまでは「支払状況が悪い」というものでしたが、4つ目に考えられる原因は「ローンへの申込件数が多すぎる」というものです。
申込件数は半年以内に3~5社へのアプローチで危険人物と判断される可能性が高まります。「申込ブラック」という言葉もあるくらいです。
多くの会社に申込みをするのがブラック扱いされる理由は、1つだけではありません。
- 偽造や盗んだ身分証明書で借りまくる危険性
- はじめから借り逃げ目的で一気に借りまくる危険性
- 単純に複数社で断っているから敬遠される
犯罪目的なのではないかと危惧される可能性が高い情報になってしまうんですね。たとえ本人にそのつもりはなくても…。
申込み情報は6ヵ月の登録です。そのため、2社目・3社目への申込みは慎重に慎重を重ねるくらいの気持ちで臨む必要があるのです。
カードローンは「完済=解約」ではない!過去の契約件数は何件?
過去にカードローンやクレジットカードのキャッシング枠を利用したことがある方は、この項目をチェックしてみて下さい。
カードローンは「完済後も必要なときに借入れができる契約」。完済したから契約も終わったと考えるのは間違いなのです。
また、「限度額は0になっても、状況が好転すれば元に戻る可能性がある」点も注意が必要です。
【原因5】契約解除していないカードローンの件数と限度額
カードローンの利用規約を読んでみると、次のような一文を見つけることができます。
解約の申告をしなければ、例え全額返済をしていても契約は継続しています。要するに「他社借入件数」が自分の認識と異なるわけですね。
そして、これが消費者金融や信販会社のカードローンだった場合、後からお話しする「総量規制」で問題が起きていることも考えられます。
【原因6】限度額が復活している可能性
これもよく誤解されるのですが、「限度額が0円になったから契約は終わった」と解釈してしまうケースです。
ここで、カードローンの仕組みについて1つ説明をします。それは「極度額と限度額の違い」です。
カードローンは契約の上限金額を「極度額」と言います。そして、極度額の範囲内で増減する利用可能額が「限度額」です。
限度額の方が頻繁に使われる言葉なので、「契約額=限度額」と勘違いされてしまうのですが、正確には「契約額(極度額)≧限度額」です。
クレジットカードも対象!総量規制を正しく理解しているか
次は「総量規制」のお話です。ご存知の方も、正しい解釈をしているかの確認として是非お読み下さい。
「総量規制」とは、貸金業者からの借入総額が年収の3分の1を超えてはいけないという法律上の制限です。
この制限は貸す側の貸金業者に課せられた義務で、審査では他社借入総額も調査することになっています。
「総量規制」の対象になるものとならないもの
「貸金業者?」と思われた方もいるでしょう。貸金業者は、消費者金融と信販会社が代表されますが、もう少し正確に説明すると、
のことを言います。…余計解り難くなった気もしますが、「金融機関以外でお金を貸している所全部」と覚えておけば間違いありません。
そして、「総量規制」の対象になるローンは以下のものが該当します。
- 貸金業者のカードローン
- 貸金業者のフリーローン
- 貸金業者が発行したクレジットカードのキャッシング枠
「貸金業者の」とついているのがポイント。銀行のローンは全て対象外です。また、次のローンは貸金業者のものも対象外になります。
- 住宅ローンやリフォームローン
- 貸金業者の自動車ローンで「所有者を貸金業者名義にする」もの
- 本人と同一生計を立てている家族の高額医療費が目的のもの
- 借換えや一本化など「債務の返済を進めようとするもの」
「総量規制の対象になるもの」と「ならないもの」の区別は、申込書への記入の際にできなければいけません。
これができないと、「自分は総量規制対象のローンでいくら借りているか解らない」ことになります。
【原因7】想定外の借入金額が総量規制に影響している
これも意外と勘違いされているケースですが、他社借入金額として計算されるのは「借入残高」ではなく「限度額」のものもあります。
カードローンの場合、「他社借入額=限度額」です。【原因6】のように契約が終わっていると思い込んでいるものも計算の対象になります。
「他社借入額」は、次のように覚えておきましょう。単純な借入れ残額の合計ではないことは知っておかなければいけませんよ。
ローンの種類 | 計算の対象となる金額 |
---|---|
カードローン | 限度額 |
カードローン以外のもの | 借入残高 |
繰り返し使えるカードローンタイプは「限度額」で、フリーローンのように一度借りるだけのタイプは「借入残高」で計算をするということです。
カードローンを借入残高で計算すると正しい額より少なくなる場合があり、結果として「総量規制は問題ない」と思い込んでしまうのです。
他社借入れがある方は、そのローンが総量規制の対象か見誤らないことと、計算対象になる金額を間違えないことが重要です。
【原因8】総量規制対象外のローンも返済能力が問われる
法律上の上限である「総量規制」では問題がなくても、住宅ローンや家賃の支払い、自動車ローンの返済などが問題になることもあります。
収入に対するローンの返済割合(返済比率といいます)が高く、これ以上の融資は危ないと判断されれば、総量規制に関係なく否決されることも。
その割合が何%で危険な範囲になるのかは、各社の判断次第です。自動車ローンの審査では30~35%あたりがボーダーとも言われています。
「総量規制に関係ないローンなのに!」と思われるでしょうが、返済能力に問題ありと判断されれば、否決になるのは仕方がないことです。
専業主婦が受ける衝撃!内緒で借りるデメリット
専業主婦の皆さんは、大手消費者金融の殆どに申込むことができません。しかし、中小規模の消費者金融は申込みOKとしている所もあります。
専業主婦が消費者金融へ申込むには、「配偶者の同意書」や「配偶者であることを証明する住民票や戸籍抄本」が必要。
「総量規制」は利用者の収入を基準にした借入制限ですが、必要な書類を揃えれば専業主婦も配偶者の収入で申込可能になっているわけです。
【原因9】配偶者が既に多数の借入れをしている
専業主婦の皆さんが消費者金融に申込みをするには「配偶者の同意」が必要なのですが、配偶者の方は同意なしで申込みができます。
自分で稼いでいる収入があるわけですから、同意を得る必要はないですよね?しかし、これが原因で専業主婦が審査落ちすることも…。
配偶者がいる方は夫婦の収入額を合算して申込み、総量規制の基準額にすることができます。兼業主婦もこの方法が使えます。
ただし、夫婦の借入れ総額が審査の対象になるので、もしご主人が内緒で消費者金融から多額の借入れをしていれば…。
「私には借金なんてないから審査で落ちる原因はない!」という主婦の皆さん。ご主人が内緒で借入れをしている気配はありませんか?
自分で気づかない原因は沢山ある
主観的・感情的になると気づかない主な審査落ちの原因を9つご紹介しましたが、この他にもケースバイケースで多くの原因が存在します。
「どんな支払いでも返済期日をきちんと守り」、「完済したカードローンは解約手続きも済ませ」、「総量規制に余裕がある」。
「収入に対する返済の割合も高くはない」し、「短期間で多数の申込みなんてしていない」。
専業主婦なら「ご主人が内緒で消費者金融から総量規制で問題視される額の借入れをしていない」。
最低でもこれらの点で思い当たるフシがなかったら、初めの方で説明した「貸すのを控えているとき」に遭遇していることも考えられます。
【番外】融資はあくまでもビジネス!言動には気をつけて
最後に番外編として1点。電話での質疑応答や自動契約機での言動が影響する可能性も忘れないで下さい。
社会人としての言葉遣いがなっていない場合や挙動不審な言動をチェックされると、「この人、ダメだね…」と呆れられることもあります。
消費者金融との取引は「お客様」である反面、「ビジネス」でもあります。取引相手としての人間性も審査されると思って行動しましょう。
【参考ページはこちら】
ブラックランクの消費者金融とは?